本年3月、第一句集『原田要三句集 良寛の風』を上梓した原田要三さんにお話しをお聞きしました。
句集上梓のきっかけは?
俳句を始めて15年。選を受けて活字になった俳句が3000句を越えこと、喜寿を迎えたこと、そして昨年第50回群馬県文学賞を受賞したこともあり出版しました。でも、一番の動機は、今までの作品を過去のものとして一線を画し、新たな俳句をめざしたかったということです。
15年というと退職後に俳句を?
退職後、これでゆっくりと本が読めると三食付の読書三昧。その内に妻が夜中になると具合が悪くなり、日赤で精密検査を受けたところ、ほとんど家にいなかった私が家にいることでの心因性の病気だと診断されたのです。これはまずい! と外に出るようになったわけです(笑)。9月からNHKの文化講座に通い始め、その講師が「やまびこ」の吉田未灰先生で、以来一貫して師事しています。
それにしても上達が早いですね!
実は秘策があるのです。現在、20冊の歳時記が手元にありますが、兼題が出たときは、その兼題に関するすべての例句(20冊の歳時記と句会の作品すべて)が入力してある私製の歳時記により、自作をチェックすることができます。3冊の歳時記からスタートし、15年間の蓄積によって出来上がったものです。
きっかけは、<立春や園児の膝に絆創膏>の句を、新人ということで先生が「春めいた感じがでている」と褒めてくれたのですが、近くの女性がすかさず「私が前に作った句に似ている」と呟くのが聞こえたのです。そうか、人と似た句を作ったらダメなんだ。ならば、できるだけ多くの俳句を読んで、人と違う句を作らないと! とその時強く思ったのです。
これからは?
今は、年金で自分のしたいことをしている有り難い身で、漱石の小説にある高等遊民の小型版というところ(笑)。この歳になると、今日で最後かもわからないし、新しいことはもう難しいので、基本は俳句でいきます。そして、たとえ病を得ても、俳句ができるくらい俳句に対する執念を持って生きたいと思っています。あと、これは夢でもありますが、俳句が入った随筆が書けたらいいな、素敵だなと思いますね。
『原田要三句集 良寛の風』より
風邪に寝て剣豪小説枕辺に
棒稲架の香の人臭き出羽平
穴まどひ惑ひしほどに轢かれけり
綿虫飛ぶため息捨てに来し湖畔
披露宴までの小春の待ち時間
装丁はこちらからご覧いただけます。
http://157.7.223.56/wp/sakuhin-haiku/sakuhin-haiku-1329/