地貌季語(ちぼうきご)

この週末、根曲がり竹を採りにいった。

筍は何度も採ったことがあるし、それよりも小さいから、どってことないと思っていたがとんでもない。知らないってこわいもので、かなり命がけのサバイバル。

まず、根曲がり竹は「チシマザサ」で竹でなくササの仲間。雪が多く、芽が伸びてくる頃に雪の重さで根元が曲がってしまうことから信越地方や東北地方では「根曲がり竹(ねまがりたけ)」といわれるようになったそう。地域によっては「姫竹」や「姫筍」とも。

ゴンドラに乗って標高の高いところに。まず、何がすごいかって群生する笹の中に入っていくのだが、背丈が2~3mあるため、人の声はすれど誰がどこにいるのか全くわかわからない。つまり、自分もどこにいるかわからないのだ。

位置がわからなくなるから目印を設けておいた方が良いと事前に教えていただいたにもかかわらず、夢中になってどこにいるのかわからなくなり、焦る。

まっすぐ行ってまっすぐ帰ってきたつもりなのに、全く反対に出てしまったいた。今回はたくさん人がいたのでいいのだが、根曲がり竹は熊が大好物とあって危険。

でも30分でこれだけの収穫。仲良くなった達人のスーさんは、何十キロもの収穫で「ほら、やるさ」と50本くらいをいただいた。合計150本ほど。

行きは6人乗りのゴンドラも、帰りには4人乗りにすると言っていたから、それだけ多く採れるのだ。

長袖と長ズボンを着ていたにもかかわらず、あとで見ると、スネや腕に切り傷や打ち身がひどくて、長靴がベストというのはこういうことだったのだと合点。

でもなんというか、野生が呼び覚まされる感じで、また行きたい!!と思った根曲がり竹採り初体験。産直で時にいい値段がついて売られているのを見かけていたが、この危険分も入ってなのだと、こちらも合点。

歳時記に載ることのない、地域特有の生活文化や季節感がにじみ出た言葉を「地貌季語(ちぼうきご)」として収集している俳人の宮坂静生氏。この根曲がり竹も入っているのだろうか。

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きどあつこ