以前、といっても2021年のこと、当社でお手伝いさせていただいた本がこちらの『えんぴつ抄』。あれから5年、次は詩集をまとめたいということでお会いしたのが93歳の早乙女文子様。詩集は現在制作中ですが、その打ち合わせの際に、川口の喫茶店でお話をお聞きしました。


長きにわたり詩や俳句、エッセイを書き続けてこられた早乙女様。
――お忙しくされていますね。
川口の安行の句会に行ったり、西川口、北浦和、桶川……あちこち出かけています。長く服飾関係の仕事をしていましたが、本格的に“遊び人”になったのは65歳から。
――65歳から、アクティブに?
いろいろやり過ぎて、今は少しずつ色んなことを辞めてはいっているんだけど、それでも毎日いろいろと。手帳には、来年の約束も書き込んであります。「今日やること」を決めて、それをどうにかこなしているだけ。「老婆は一日にしてならず」よ。一日一日、その日を生きてきた結果が今だから。ほんと、私はいいかげんだからやってこられたんだと思うの。
――これまで書きためてこられた作品がたくさんおありとか
これまではね、自分の作品をわざわざまとめようなんて思っていなかった。どうせ私が死んでいなくなったら、みんな捨てちゃうものだし。でも一晩寝て起きたら、捨てたら何も残らない、私が「生きた証」がなくなるなって。そしたら、やはり捨てるにはしのびないと思ったの。価値がないのはわかっているけど、残っていれば誰か一人くらいは「こういう人が生きていたんだ」って分かってくれるんじゃないかと思って。お金には代えられないこと。そう思ったら、すぐに手紙を書いてまとめて送っちゃった。そういうところがいいかげん(笑)。
でも、今まとめようと思っている詩集は、本当に残したいと思っているエッセイの数々を探している時に見つかった副産物のようなもの。もう20年以上通っているエッセイ講座のあの作品たち、どこにいっちゃったのかしら。ほんといいかげんね。
言語明瞭で判断も早く、お話もシャープでユーモアにあふれている。3年前に旦那様を亡くされたそうだが、賜った命を存分に生き切っているという印象にあふれていた。まさに現役感十分で、毎日350mlのビールを欠かさないという。「そしたら友達が500mlを送ってきたのよ。でも350mlにしておいた方がいいわよね。そうよね、500mlは人が来た時に一緒に飲むわ」。チャーミングでもある。飲むのも現役、ということだけでなく、こんなふうにありたいなと思わせる早乙女様。エッセイ、見つかるといいですね。内容が今から楽しみです。
(木戸敦子)